【水環境生態系研究分野】
絵文字:矢印 右メダカ柏田 祥策(東洋大学 生命科学部 教授)
絵文字:矢印 右藻類長坂 征治(東洋大学 生命科学部 教授)
東端 啓貴(東洋大学 生命科学部 准教授)
絵文字:矢印 右ミジンコ坂本 正樹(富山県立大学 工学部 講師)

生物機能統合解析分野
絵文字:矢印 右汚染化学物質の定量分析山本 浩文(東洋大学 生命科学部 教授)
絵文字:矢印 右タンパク質・糖鎖微量迅速解析
宮西 伸光(東洋大学 食環境科学部 教授)
絵文字:矢印 右代謝物のマスイメージング
梅原 三貴久(東洋大学 生命科学部 教授)
絵文字:矢印 右数理統計学的解析立田 晴記(琉球大学 農学部 准教授)
 
地球上に藍藻類が出現して以来,生物は嫌気的環境よりも19倍高いATPを産生できる好気的環境に適応することで生物進化を成し遂げている。好気性生物は大気中あるいは生体内代謝過程で酸素分子から発生する活性酸素による酸化ストレスを受けるが抗酸化反応とバランスを取っている。酸化ストレスは,生物がさらに陸域に進出する進化の過程でとくに環境変化の点で不可避な問題であったが,生物は酸化ストレス順応の適応戦略として抗酸化物質を生み出すという戦略的な生物進化を進めてきた。

一方,化学汚染などに代表される突発的・短期的な人為由来環境ストレスに対しても既存獲得機能を適用して生物は適応戦略を展開してきた。本研究は,そのような人為由来の環境変化に対して水環境の生物群および生態系がどのように適応進化しているのかを明らかにする「生命環境科学研究」を特色として有し,以下の2つの研究分野から構成される。変化する地球環境における生態系と人類の持続的発展を可能にする革新的研究を達成させ,化学物質生態リスク研究にパラダイムシフトを導き出す重要な意義をもつ。

【水環境生態系研究分野】 水圏生態系に生息する生物個体群(微生物,藻類,動物プランクトンおよび魚類)の食物網および生態系が発達する時間軸の中で,慢性化した重金属汚染がそれらの生存に対して顕著な選択圧として存在した場合に,生物生態系がどのような戦略で生態系を維持してきたのかを明らかにする。さらに近年問題となっている抗菌剤による水環境汚染が薬剤耐性菌を生み出し,これが野生生物の常在菌と入れ替わる事例が確認されている。そこで水環境における抗菌剤の環境汚染実態調査を行うとともに,耐性獲得機構を解明し,それが誘引する生態リスク研究を行う。

【生物機能統合解析分野】 水環境生態系研究分野と緊密に連携しながら研究を行う。水環境に生息する生物個体群(微生物叢,藻類,動物プランクトンおよび魚類)が人為由来の環境変化から受けるストレスを高感度かつ高精度で数値として解析するとともに,安定同位体解析を用いた食物網解析を加味した水圏生態系生物群の生存リスク評価システムを構築する。さらに環境汚染という化学環境圧が生物進化に与える影響について評価を試みる。
 これら二分野の研究によって,これまで見えなかった人為由来の環境変化に対する生物の戦略的進化のメカニズムおよび生態リスクを定量的に評価する。さらに本研究成果を環境保全および生物資源の確保およびヒト・環境健康増進に連結させて人類の持続的発展に資する革新的研究と位置づける。